国連科学委員会(UNSCEAR)福島原発事故の放射線影響評価に関する2017年白書に関して2017年11月08日 14:51

62)国連科学委員会(UNSCEAR)福島原発事故の放射線影響評価に関する2017年白書に関して

 

昨年11月にこのブログでも紹介したように、国連科学委員会(UNSCEAR)は、2013年に報告した福島原発事故の放射線影響に関する報告書の内容に関して、その後の調査や研究の結果得られた知見をレビュー評価し、2013年報告書の内容に修正を及ぼすべきかどうか評価するプロジェクトを継続している。

これに関する本年の白書(3回目)が先月末に公開(日本国民向けに日本語でも公開されているhttp://www.unscear.org/docs/publications/2017/UNSCEAR_WP_2017_JAPANESE.pdf)されたが、従来の評価と変わらないためか、マスメディアでも取り扱われていないようである。

今回は、この白書の内容から、一般公衆の健康影響に関する部分を紹介し、あらためて国際的な科学者、技術者のこの問題に対する共通的な見解(UNSCEARの見解)を認識し、正しい理解を再度深めたいと思う。

 

<正しい理解のために>

 

(UNSCEAR2017年白書から)

 

2013年報告書の要約

本委員会は、福島第一原発事故による健康リスクは、公衆および作業者の被ばく線量が有意に低いためにチェルノブイリでの原発事故の場合よりもはるかに低いと予想している。

放射線被ばくによる確定的影響は公衆では観察されておらず、今後も出現しないと予測されている。

妊娠中の被ばくによる自然流産、その他の流産、周産期死亡、出生時異常または認知機能障害の増加は予測されていない。また、「事故によって被ばくした人の子孫における遺伝性疾患の識別可能な増加」が生じるとも予測されていない。

放射線被ばくに関連する白血病または乳がん(最も放射線に誘発されやすい2 種のがん)や他のタイプの固形がん(おそらくは甲状腺がん以外)の発生率が、識別可能なレベルで放射線に関連して上昇することはないと予測されている。

福島第一原発事故による甲状腺線量の推定値はチェルノブイリ周辺が受けた線量よりも大幅に低いため、チェルノブイリ原発事故後に発生したような放射線被ばくによる甲状腺がんの大きな過剰発生は考慮しなくともよいとみなされた。ただし、事故当時18 歳以下12の子供に対する超音波を使用した感度の高い甲状腺集団検診により、多数の甲状腺嚢胞と固形結節および「このような集中的な集団検診がなければ通常は検出されない」多数の甲状腺がんなどが検出されると予想されている。しかし、事故による有意な放射性核種の沈着が生じていない青森県、山梨県、長崎県の各県でも、同様またはわずかに高い有病率で嚢胞と結節が確認されていた。福島県民健康調査(FHMS) で既に観察されていた相当量の症例は、放射線の影響ではなく、集団検診の感度による可能性が高いとみなされた。

 

新規文献がもたらし得る影響

 本委員会は、2013 年報告書における福島第一原発事故による放射線被ばくの健康影響に関する知見は引き続き有効であり、それ以降に発表された新規情報の影響をほとんど受けていないとの結論に達した。

 

つまり、上記の2013年報告内容要約で示したものを見直す必要がある知見は、何ら出てきていないということを、我々は正しく理解したい。




エネルギーミックスの議論:各国の多様度尺度の推移2017年08月17日 15:17

このブログでは、2015年にエネルギーミックスの議論をする上で、持続可能性のために多様度評価をするべきであり、そのための指標として重み付き多様度指数を提案して各国の状況を示した。

 

各国の状況については、その時は2013年までのデータをIEAのデータをもとに示したが、2014年のデータも現在は示されているので、各国のその後の推移状況をまとめてみた。

以下の表が2014年のデータを含めた推移状況である。

 

日本

ドイツ

デンマーク

イタリア

電源割合(年)

2010

2012

2013

2014

2010

2012

2013

2014

2010

2012

2013

2014

2010

2012

2013

2014

石炭

0.267

0.293

0.322

0.335

0.446

0.471

0.488

0.480

0.451

0.294

0.399

0.316

0.128

0.158

0.146

0.144

石油

0.084

0.175

0.143

0.112

0.013

0.013

0.012

0.010

0.020

0.011

0.010

0.009

0.063

0.055

0.047

0.044

天然ガス

0.269

0.384

0.384

0.404

0.141

0.127

0.114

0.105

0.203

0.117

0.095

0.060

0.441

0.377

0.328

0.289

バイオ燃料

0.026

0.029

0.031

0.028

0.047

0.065

0.068

0.073

0.095

0.099

0.097

0.097

0.021

0.030

0.045

0.051

廃棄物発電

0.006

0.008

0.008

0.006

0.018

0.019

0.020

0.023

0.043

0.045

0.044

0.046

0.012

0.013

0.014

0.015

原子力

0.258

0.015

0.009

0.000

0.229

0.163

0.162

0.164

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

水力

0.081

0.081

0.081

0.084

0.045

0.046

0.048

0.043

0.001

0.000

0.000

0.000

0.157

0.128

0.165

0.186

地熱

0.002

0.003

0.002

0.002

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.016

0.016

0.017

0.018

太陽光

0.003

0.007

0.014

0.024

0.019

0.043

0.052

0.061

0.000

0.003

0.014

0.017

0.006

0.055

0.065

0.069

太陽熱

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

風力

0.004

0.005

0.005

0.005

0.062

0.083

0.086

0.097

0.201

0.286

0.310

0.373

0.026

0.039

0.045

0.047

潮力

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

その他

0.000

0.000

0.000

0.000

0.005

0.003

0.003

0.003

0.000

0.000

0.000

0.000

0.002

0.002

0.002

0.002

輸出入

0.000

0.000

0.000

0.000

-0.024

-0.034

-0.054

-0.057

-0.029

0.145

0.030

0.082

0.128

0.126

0.127

0.135

単純指数

0.776

0.728

0.720

0.703

0.733

0.737

0.731

0.739

0.715

0.706

0.705

0.690

0.662

0.727

0.760

0.774

重み付け指数

0.900

0.862

0.858

0.850

0.860

0.854

0.845

0.849

0.847

0.907

0.871

0.890

0.887

0.907

0.924

0.934

 

米国

中国

フランス

イギリス

電源割合(年)

2010

2012

2013

2014

2010

2012

2013

2014

2010

2012

2013

2014

2010

2012

2013

2014

石炭

0.453

0.379

0.392

0.390

0.775

0.760

0.756

0.726

0.049

0.042

0.047

0.024

0.283

0.384

0.353

0.284

石油

0.011

0.008

0.008

0.009

0.003

0.001

0.001

0.002

0.010

0.008

0.005

0.004

0.012

0.008

0.006

0.005

天然ガス

0.231

0.292

0.265

0.264

0.016

0.017

0.017

0.020

0.044

0.042

0.033

0.026

0.457

0.266

0.256

0.280

バイオ燃料

0.012

0.013

0.013

0.014

0.006

0.007

0.007

0.008

0.005

0.006

0.006

0.006

0.027

0.034

0.044

0.061

廃棄物発電

0.005

0.005

0.005

0.004

0.002

0.002

0.002

0.002

0.008

0.009

0.007

0.008

0.008

0.011

0.011

0.011

原子力

0.190

0.185

0.188

0.189

0.018

0.020

0.021

0.023

0.796

0.818

0.808

0.881

0.162

0.187

0.189

0.177

水力

0.065

0.069

0.066

0.064

0.172

0.175

0.169

0.188

0.125

0.122

0.144

0.138

0.018

0.022

0.020

0.024

地熱

0.004

0.004

0.004

0.004

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

太陽光

0.001

0.002

0.003

0.005

0.000

0.001

0.003

0.005

0.001

0.008

0.009

0.012

0.000

0.003

0.005

0.011

太陽熱

0.000

0.000

0.000

0.001

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

風力

0.022

0.033

0.039

0.042

0.011

0.019

0.026

0.028

0.018

0.029

0.031

0.035

0.026

0.052

0.076

0.089

潮力

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.001

0.001

0.001

0.001

0.000

0.000

0.000

0.000

その他

0.000

0.000

0.001

0.001

0.000

0.000

0.000

0.000

0.000

0.001

0.001

0.001

0.000

0.000

0.000

0.000

輸出入

0.006

0.011

0.014

0.012

-0.003

-0.002

-0.002

-0.002

-0.057

-0.086

-0.092

-0.136

0.007

0.032

0.039

0.057

単純指数

0.697

0.725

0.726

0.729

0.373

0.394

0.401

0.438

0.412

0.409

0.424

0.367

0.679

0.724

0.745

0.768

重み付け指数

0.847

0.867

0.868

0.869

0.660

0.673

0.676

0.700

0.799

0.787

0.791

0.751

0.846

0.871

0.884

0.903

 

 

 この表からわかるように、2014年は再生可能エネルギーの割合が、各国で増えてきており、わが国とフランスを除いて、概ね重み付き多様度指数が改善してきているのはよいことである。わが国では原子力発電の割合がゼロになり、その分、天然ガス、石炭依存が増えてきているため、2012年以降毎年悪化してきていることが目立っており、残念なことである。




東芝問題の視点:巨大先端技術の継承の難しさ2017年04月06日 11:18

東芝が2006年に買収したWHが、米国原発建設で巨額の損失を出す見込みとなり、米国の破産法の適用申請し、親会社の東芝は、巨額損失計上で債務超過を回避して存続するため、半導体事業の売却を株主総会で決めた。

 

東芝グループでエンジニアとして、また経営者として会社人生を送ってきたOBの一人として、極めて残念な事態で、この難局を東芝グループ従業員一同が乗り越え、復活してくれることを願っている。

 

一方、私の経験から今回の事態は、福島第一原発の廃炉作業に深くかかわる東芝でもあるだけに、このことは一企業の問題だけではなく、大切な技術継承問題とかかわっていると考えてきた。そこで、今回は、私自身の経験を踏まえてこの問題に関して私の視点を述べてみたい。

 

東芝がWHを買収した2006年当時は、私は東芝本体を離れてグループ会社の経営に携わっていたので、買収の経緯については承知していない。

買収の話を最初に聞いたときは正直言って驚いたことを覚えているし、当時、WHはBNFLがお荷物として売却しようとしていただけに、他社に比して大きな金額を提示しての買収だと報道されていたから、デューディリはしっかりできたのか、PWR技術評価ができるのか、個人的には大丈夫なのかなと思ったことを覚えている。ただ、BWRだけでなくPWRをもって世界に出ていく(世界の原発建設計画はBWRよりPWRの方が圧倒していた)という高揚感が東芝本体にはあったようだ。

 

東芝本体の原子力技術には、BWRで最先端のABWRを完成させ、巨大先端技術である原子力発電所建設の世界トップ企業の一つとしての誇りを持っていたし、私自身も会社生活の大半をそうした技術開発やプラント建設に携わってきたことを誇りに思っていた。

 

今回、報道されているWHの米国原発建設における巨額の損失の原因については、米国での新規原発建設がTMI事故以来止まっていたことによって、建設経験のあるエンジニアが米国にいなくなっていたこと等が指摘されているが、私の経験からしてもこの問題は極めて重要な点だと考えている。

 

原子力発電所建設というのは、大変な工事量を伴う巨大プラント建設プロジェクトであり、プラント建設を工程計画通り進めていくためには、膨大なエンジニアリングが必要とされる。

特に、建設現場で、実際の機器や配管をどこに、どの順番で設置し、さらに電気配線工事等の他の工事との干渉をさけて円滑に進めていくことはキーポイントであり、この調整エンジニアリングを、我々はコンポ調整(Composite Adjustment)と呼んでいたが、このためには、十分な建設経験がものをいうのである。

もちろんこのエンジニアリング業務も、それぞれの部門が図面を持ち寄って調整するようなことが当初は行われてきたが、やがて3次元CAD技術を使って行うようなエンジニアリングの改善が実現し、単なる経験に基づくものでなくなってきたのは事実である。

 

しかしながら、私個人の経験から言えば、同じ軽水炉でもBWRとPWRはあまりにも違いすぎるのである。BWRの経験しかないエンジニアが、PWRのエンジニアリング業務を主導していくことができるとは、とても思えない。複雑な巨大プロジェクトの原発建設業務でWHがコスト増に苦労しているとき、東芝本体の原子力部門は、東芝の技術、経験から十分にコスト増を抑制できると甘く考えていたと一部では報じられている。

これは、巨大先端技術に関する自社技術の過信、慢心であり、福島第一原発事故の要因について、反省を踏まえて私なりに考えてきた日本の原子力技術者の慢心にもつながっていたものでなかったと思う。

WHにも原発建設経験のあるエンジニアはおらず、東芝にはBWR経験者しかいない。これでは残念ながらエンジニアリング業務をきちんと進めていくのは難しくなるし、実は日本では優れている現場技術(現場工事の最後の調整力は、経験を有する現場工事者)を期待できない米国での建設は、コストが膨れていくことが避けられなかったのであろうと推察している。

 

この問題は、巨大先端技術の技術継承の問題に他ならない。そこには、技術経験(失敗で学ぶし、成功で学ぶ)はやはり重要なポイントであるとつくづく思う。私は、原子力技術については自信をもって東芝というメーカに入ったが、最初に原発建設現場に行ったとき、圧倒的なコンクリート、機器量、膨大な配管、ケーブル等を目の当たりにして、プラント建設のエンジニアリングを本当に謙虚に学び、経験したいと思ったことを思い出す。

 

巨大先端技術は、一度技術、経験をなくすと、それを取り戻すには途方もない時間とコストが必要になってくる。

 

福島第一原発の廃炉は、日本の最大の技術課題であり、巨大先端技術プロジェクトである。このための技術開発と継承には、多くの研究者、エンジニアがこれからも携わっていかなければならない。東芝自身もこの問題を先頭になって解決していくメーカとして、決して技術者をこの分野から失ってはいけないし、日本全体で人材確保に注力してほしいと切に思うのである。




大阪高裁の高浜3,4号機運転差し止め仮処分決定取り消しに関して2017年03月29日 14:21

このブログでは昨年4月、川内1,2号機の運転差し止めを福岡高裁が棄却した際にも、

正しい事実認識に立った判断、決定でなければ、信頼のないものだと述べた。原発の安全性にかかわるような科学技術上の問題については、科学的、客観的に正しい認識に立った上での判断が何よりも大切なのである。

 

その意味で、予想していた通りとはいえ、昨年3月に指摘したような大津地裁の正しい事実認識に基づかない判断、決定が取り消される結果になったことは、司法の信頼にとっても良い結果になったと考えている。

 

しかしながら、一部マスメディアでは、科学的、客観的な正しい事実認識に立脚しようとせず、相変わらずゼロリスク論で感情論を先行させる論調(朝日新聞社説:あまりに甘い安全判断、毎日新聞社説:「万が一」に応えていない、東京新聞社説:あと戻りしてないか)が目立っており、残念なことである。

 

ただ、今回の再稼働反対論の新聞の中にも、今回の大阪高裁判断で、大津地裁決定での「福島第1原発事故の原因究明は建屋内の調査が進んでおらず今なお道半ばの状況で、本件の主張状況に照らせば津波を主たる原因として特定できたとしてよいのか不明」という福島の事故原因不明論が否定されたことに関しては、さすがに明確な反論ができないようで、毎日新聞が「 福島の事故で原発の安全神話は崩れ、原因究明も十分とは言えない」と述べる以外は、表立って反論していない。

実は、ほとんど報道されることはないが、先日の福島からの避難者に対する損害賠償に関して、国や東京電力の津波予見性を認めて賠償を命じた前橋地裁判決でも、明確に福島第一原発事故の直接原因は、地震でなく津波であると判断されているのである。

 

私は科学的、客観的な事実認識に立脚したうえで判断するのなら、それぞれの見識であり、多様な考えがあってもよいと考えるが、間違った事実認識に基づいて主張する、さらに悪い場合は、間違った事実認識に人を導くような主張をする人を決して信頼してはいけないのである。

 

このブログで取り上げてきた原発再稼働や放射線被ばくの問題とは違うが、最近マスメディアを賑わしている東京都の豊洲新市場の問題でも、議論している方が科学的、客観的な市場としての安全性の事実認識に立っているかどうかを見極めることが大切だと思う。

 

この点、当初は環境基準を大幅に上回る地下水測定結果で騒いでいたテレビなどでも、地下水の環境基準の意味と測定値の市場安全性に関する判断が冷静に語られるようになってきたことは、良い傾向ではないだろうか。




福島第一原発事故から6年:相変わらずの不安を煽る報道と客観的事実、真実の大切さ2017年03月13日 15:46

先週で3.11東日本大震災、福島第一原発事故から6年経過ということで、毎年のことでマスメディアがいろいろ特集をやっている。

このブログでは、約1年半前の2015年7月29日の記事で、福島の復旧に関する情報が増えてきて「福島第一原発事故:取り返しがつくと認識され始めているのではないか」という考えを述べた。

今年は、4月から一部を除いて帰還困難区域以外の地域での避難指示が解除され、住民の帰還が可能になるということも報道されている。

テレビでは、避難指示が解除されることになる津波に流された富岡町の駅周辺の復旧状況や、常磐線の復旧の予定等も伝え、あの有名な夜ノ森公園の桜並木の除染復旧も視野に入ってきたようで、30年以上も前、福島第二原発の1号機や3号機の建設時に、担当者として何度もかよった富岡駅周辺の復旧状況を懐かしく、またうれしい思いで見ることができた。

6年前には「取り返しが付かない」と考えた土地でも、除染により帰還が可能になるということで本当によかった考え、関係者のこれまでの努力に敬意を表したいが、それでも相変わらず、テレビ朝日の報道ステーション等の一部マスメディアでは「避難解除後も消えないホットスポット」、「避難指示解除まで1カ月、厳しい選択を迫られる住民」というような放射線に関する恐怖をことさら煽るような報道が繰り返されている。

 

一方、具体的な福島の放射線レベルは福島県(http://fukushima-radioactivity.jp/pc/)や原子力規制委員会(http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/)のサイトなどで誰でも簡単に現在の状況や推移を知ることができ、着実に改善されてきていることは知ることができるのである。

 

こうした中で、DIAMOND onlineには、3月10日に林智裕氏の「「人殺し」と言われたことがありますか?福島とデマ、6年目の訴え」(http://diamond.jp/articles/-/120730)、3月11日に開沼博氏の「廃炉について、デマと誤報を乗り越えるための4つの論点」(http://diamond.jp/articles/-/120900?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor)の記事が掲載され、このブログで何度も指摘してき実際の事実認識に基づかないタメにする報道や煽り、誤報を糾弾する指摘も出てきた。

 

林氏の記事では、私がこのブログの「放射線の知識」で指摘してきた放射線の危険を極端な言説で煽った人たち(放射線の知識第42回で指摘した武田邦彦氏等)の責任について言及され、福島県の甲状腺がんの状況や実際の個人被ばく線量に関する結果等の紹介から、

「新たな「神話」を創作することではなく、思い込みを排除した客観的な事実、空想ではなく現実に向き合い続けることでしょう。危険ならば危険、安全ならば安全。それは客観的な事実の積み重ねのみによって語られるべきです。」

と、私が主張してきた論点と同じことを語っておられる。

 

開沼氏は、2月に実施された福島第一2号機の内部を調査する過程で過去にない高放射線量が検出されたことの報道から、韓国の済州航空が福島へのチャータ便運航をやめたことや1Fの廃炉作業の進展に関しての報道の伝え方の問題を指摘している。この済州航空の件は開沼氏の記事で私は初めて知り、報道の仕方、マスメディアの責任というものをあらためて認識した。

私は、関係者の懸命の努力で汚染水対策には大きな前進が見られているし、残っている大きな問題はトリチウムを含んだ処理水の海洋放出問題だと考えている。取り返しのつく状態に近づけるためにも最優先課題として、政府は東電を全面的に支援し、この問題について前面にも立って、漁業関係者と話し合い、風評被害を引き起こさないよう対応すべきだと考えるが、一方、この問題の今後の報道の仕方に関しては、マスメディアの責任が極めて大きいと考えている。これからも注視していくつもりである。

 

いずれにしろ、我々は極端な言説に騙されることのないように科学的リテラシーを高める必要があるのであり、このブログでも今後も変わらずに、客観的事実に基づく正しい科学技術認識を発信していく所存である。